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クレームとカスハラの違い|現場で使える線引きの基準

公開: 2026年7月27日

カスハラ対策で現場が一番迷うのが「これはクレームなのか、カスハラなのか」の判断です。
厳しい指摘は全てカスハラ、というわけではなく、逆にお客様だからと全て受け止める必要もありません。

1. 判断の起点は「要求の中身」と「手段・態様」の2軸

厚生労働省の整理では、カスタマーハラスメントは「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」または「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な場合」に該当するとされています。
つまり見るべきは2つの軸だけです。

  • 要求の中身は妥当か — 商品の不良・サービスの不備など、事実に基づく指摘・要望か
  • 要求の伝え方は相当か — 暴言・威圧・長時間拘束・過度な謝罪要求などになっていないか

要求の中身が正当でも、伝え方が不相当ならカスハラに該当し得ます。
逆に要求の中身がそもそも妥当性を欠く場合(過剰な要求・言いがかりに近いもの)は、伝え方が穏やかでもカスハラに該当し得ます。

2. 「これはクレーム」と判断してよい例

  • 商品の不良・サービスの誤りを指摘し、謝罪や交換を求める
  • 説明不足や案内ミスについて、事実確認と改善を求める
  • 声のトーンが強くても、要求の中身が事実に基づき、対応が済めば収まる

これらは通常のクレーム対応の範囲であり、カスハラとして扱う必要はありません。
現場が過剰に身構えると、正当な指摘まで拒否してしまい、かえって信頼を損ないます。

3. カスハラに該当し得る例

  • 暴言・大声・威圧的な態度が繰り返される
  • 土下座や過度な謝罪、金銭・過大なサービスなど不相当な要求をする
  • 長時間の拘束、複数回にわたる執拗な電話・来店を繰り返す
  • SNSでの実名・写真の公開を示唆して脅す
  • 要求内容自体が事実に基づかない、または既に十分な対応が済んでいる

4. グレーゾーンはどう扱うか

現場で最も多いのは、明確にどちらとも言い切れないケースです。
こうした場合に大切なのは、その場の担当者一人が瞬時に断定することではなく、まず記録に残し、上長・複数人で判断する仕組みにしておくことです。

  • 担当者は「対応可否の最終判断」ではなく「事実の記録」に集中する
  • 同じような事案が繰り返された場合は、単発では見えない傾向が記録から見えてくる
  • 判断に迷う事案こそ、記録様式に沿って残しておくと、後から複数人・専門家に相談しやすくなる

5. 判断基準を社内で共有しておく

線引きの考え方は、担当者の感覚に任せず、方針文書対応マニュアルに明文化しておくことで、現場の判断のばらつきを減らせます。
「迷ったら記録して相談する」という運用ルールを事前に決めておくだけで、現場の負担は大きく減ります。

6. 注意

本記事は厚生労働省の指針等の公表資料に基づく一般的な考え方の整理であり、法的助言ではありません
個別事案の該当性判断は、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。

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