カスハラ対応方針のひな形(無料・コピペ可)— 書き方と文例
公開: 2026年7月21日 / 更新: 2026年10月4日
2026年10月1日から、労働者を雇用する全事業主に、カスタマーハラスメントへの雇用管理上の措置義務が適用されています。
その出発点が、事業主の方針です。
現場の判断を個人に背負わせず、「会社としてどう向き合うか」を文書で示し、労働者に周知します。
本記事では、方針に入れる要素と、短い版・詳細版のひな形文例を、コピペして使える形で整理します。
義務化の全体像はカスハラ対策義務化はいつから?を先に読むと、方針の位置づけが分かりやすいです。
一次資料は厚生労働省のカスハラ対策特設ページと、必要措置の整理(Webマガジン)を確認してください。
1. なぜ方針文書が最初に必要か
1-1. 必要措置の入口になる
厚労省の整理では、方針の明確化と労働者への周知・啓発が必要措置の柱の一つです。
マニュアルや掲示だけがあっても、「会社として毅然と対応する」方針が文書化されていないと、現場の言い切りが弱くなります。
1-2. 方針は短く、手順はマニュアルへ
方針に初動の全手順を詰め込むと、改定のたびに全文が膨らみ、周知が追いつきません。
方針は宣言・定義の考え方・窓口・不利益取扱い禁止までを短く置き、手順の詳細は対応マニュアルのひな形に分けます。
1-3. 「作ったが周知していない」を避ける
共有フォルダにドラフトだけある状態では、措置を講じた説明が弱くなります。
版番号・周知日・周知手段(掲示・朝礼・イントラ)をセットで残す習慣を最初から入れます。
2. 方針に入れておきたい要素
2-1. 方針に入れたい骨格
- 方針宣言— カスハラに組織として毅然と対応し、労働者の就業環境を守る旨
- 定義の考え方— 正当な意見・要望と、手段・態様が相当でない言動の区別
- 対処の内容— 対応の中止・上長交代・悪質事案への方針など、あらかじめ定めた対応の骨子
- 相談窓口— 誰に・どの手段で相談できるか(連絡先は実名に差し替え)
- プライバシー保護— 相談内容の取扱い範囲
- 不利益取扱いの禁止— 相談や事実確認への協力を理由に不利益を与えない旨
- 周知— 労働者への伝え方(掲示・朝礼・社内ツール)
2-2. あると現場が動きやすい追記
- 夜間・休日の連絡経路の有無(詳細はマニュアルでも可)
- 記録を残す旨(様式は別紙でも可)
- 顧客向け掲示は方針とは別文書にする旨(必須措置そのものではない)
自社の取組みが足りているかの棚卸しは厚労省指針との対応チェックリストと並べて見ると抜けに気づきやすいです。
3. 短いひな形(コピペ用)
3-1. まず一文で立てる版
店舗1〜数拠点・担当が少ない事業者向けです。
括弧内を自社名・窓口名に必ず書き換えてください。
(会社名)は、お客様等からの不当な言動により労働者の就業環境が害されることがないよう、カスタマーハラスメントに組織として毅然と対応します。
正当なご意見・ご要望には誠実に対応します。
一方で、暴言、過度な要求、長時間の拘束、威嚇など、社会通念上相当でない言動に対しては、対応の中止やお断りを行うことがあります。
労働者は、カスハラに該当し得る事案について社内の相談窓口(例: 店長/総務担当 ○○、連絡先 ○○)へ相談できます。
相談内容は業務上必要な範囲で取扱い、プライバシーの保護に努めます。
相談したことや事実確認への協力を理由に、不利益な取扱いは行いません。
具体的な初期対応・エスカレーション・記録の手順は、別途定める対応マニュアルに従います。
3-2. 短い版の使い方
就業規則の別紙、入社時オリエンテーション資料、店舗バックヤードの掲示用にそのまま転用できます。
「例:」のまま残さないことと、窓口の実在確認が完了条件です。
4. 詳細版ひな形(コピペ用)
4-1. 本社・複数拠点向け
方針の骨格に、悪質事案への姿勢と周知の扱いを足した版です。
手順の細部はマニュアルへ委ね、方針側は「何を守るか」に寄せます。
1. 基本方針
(会社名)は、顧客、取引先、施設利用者その他当社の事業に関係を有する者(以下「顧客等」)からの言動により、当社の労働者が就業環境を害されることがないよう、カスタマーハラスメントに組織として毅然と対応し、労働者を保護します。
2. 対象となる言動の考え方
正当なご意見・ご要望には誠実に対応します。
一方で、要求内容や手段・態様が社会通念上相当な範囲を超える言動により労働者の就業環境が害される場合は、カスタマーハラスメントとして対応します。
例として、暴言・侮辱、威圧、執拗な要求、長時間の拘束、土下座等の過度な謝罪要求、不当な金銭要求などが含まれ得ます。
3. 組織としての対応
当社は、現場の個人判断に委ねず、あらかじめ定めた手順に従い対応します。
対応者の交代、対応の一時中止、悪質な事案への対処(警告、取引条件の見直し、警察・弁護士への相談等)は、マニュアルおよび判断基準に従います。
4. 相談窓口
労働者は、カスハラに関する相談を(窓口名/担当部署)(連絡先)へ行えます。
窓口担当者は、事実確認と必要な配慮が迅速に進むよう対応します。
5. プライバシーと不利益取扱い
相談内容は業務上必要な範囲で取扱い、プライバシーの保護に必要な措置を講じます。
相談したこと、または事実確認に協力したことを理由とする不利益な取扱いは行いません。
6. 周知
本方針は、掲示・社内イントラ・研修等により労働者へ周知します。
改定時は版番号と周知日を記録します。
7. 関連文書
初期対応、エスカレーション、記録、再発防止の詳細は、対応マニュアルおよび関連規程に定めます。
4-2. 詳細版を就業規則とつなぐとき
方針と就業規則の文言が食い違うと、現場が迷います。
改定時はハラスメント規程・内部通報規程と並べて見比べ、矛盾を先に潰します。
窓口の設計は相談窓口の作り方・周知方法と揃えると、方針の「相談できる」一文が空振りしません。
5. 作り方の実務Tips
5-1. ゼロから書かず、たたき台を直す
上のひな形を自社名・業種・窓口に直す方が、白紙より早く実運用に入れます。
業種特有の言い回し(医療・介護の利用者家族、BtoBの発注元など)は、定義の例示だけ差し替えれば足りることが多いです。
5-2. 顧客向け掲示は別文書にする
労働者への周知が必要措置の中心です。
店頭・ウェブでの顧客向け表明は抑止に有効な推奨施策であり、方針本文に長く書く必要はありません。
文例が必要なときは掲示文例を参照してください。
5-3. 版と周知日を残す
「いつ整備し、誰に伝えたか」が後から説明の材料になります。
事案が起きたあとで方針を探すのではなく、日常の周知記録を残します。
カスガード(kasuguard)の無料ジェネレーターでは、業種を選んで基本方針のたたき台を生成できます(ログイン不要)
生成結果は必ず自社の窓口名・実態に合わせて編集してください。
6. よくある質問
Q. 短い版と詳細版、どちらから始めればよいですか?
未整備なら短い版で「方針がある状態」を先に作り、周知記録を残します。
複数拠点や本社規程がある場合は、詳細版をベースに就業規則との整合を取ります。
Q. パワハラ方針をコピーすれば足りますか?
構造は似ていますが、相手方が社外の顧客等になるため、懲戒前提の文言をそのまま流用すると抜けが出ます。
違いの整理はパワハラ対策とカスハラ対策の違いを参照し、カスハラ用に置き換えた一文を足してください。
Q. Wordファイルは配布していますか?
本記事のひな形は画面上でコピーして使う想定です。
特定のファイル形式の配布はありません。社内の文書管理に合わせてテキストを貼り付けてください。
Q. 方針を作ったあと、何を続けますか?
窓口の実在確認、初動フロー、事案記録の様式を続けて整えます。
記録項目の例は相談・事案記録の様式にあります。
Q. 小規模でも同じ要素が必要ですか?
企業規模の下限はありません。
短い版でも、方針宣言・窓口・不利益取扱い禁止・周知の4点は落とさない方が安全です。
7. 方針とつなぐ実務判断
7-1. 過度な謝罪要求を例に書くとき
「土下座その他社会通念を超える謝罪態様には応じない」と方針へ書く場合の現場フレーズは、土下座の強要への対応で整理しています。方針の一文と、その場の断り方をセットで見ると矛盾が減ります。
7-2. 不利益取扱い禁止を研修へ落とすとき
方針に書いた禁止が窓口運用まで届いているかは、セカンドハラスメント防止の観点で点検すると抜けが見えやすいです。
7-3. 切電・交代を方針に含めるとき
電話チャネルで「対応の中止や担当交代があり得る」と書くなら、数値基準と記録の置き方はコールセンターの交代・切電・記録と揃えておくと、現場マニュアルとのズレが起きにくいです。
8. まとめ
- 方針は措置義務の入口であり、労働者への周知までがセット
- 短い版で立ち上げ、必要なら詳細版へ育てる
- 手順の詳細はマニュアルへ分け、方針は宣言と骨格に留める
- 窓口名・版・周知日を空欄のまま運用しない
- 顧客向け掲示は推奨施策として別文書にする
たたき台をすぐ作りたい場合は、再度無料ジェネレーターから業種別の文案を出せます。
登録後の本生成では、方針宣言・定義・対応手順・相談先・不利益取扱い禁止が揃っているかをシステムが自動チェックしてから保存します。
方針を短い版で立ち上げたあと、マニュアル初動と記録1枚を同じ週に置く手順は方針の次にそろえる文書を参照してください。
9. 注意
本記事・ひな形例は公表資料に基づく一般的な情報整理であり、法的助言ではありません。
自社文書の最終判断は専門家にご確認ください。
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