カスハラ対策義務化とは?— 2026年10月1日施行・全事業主が対象
公開: 2026年7月20日
改正労働施策総合推進法により、2026年10月1日から、事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)対策の雇用管理上の措置を講じることが義務付けられます。
パワハラ防止措置(2022年から全企業義務化)と同じ枠組みが、顧客等からのハラスメントにも広がる形です。
1. 対象は「全事業主」— 企業規模の下限なし
対象は企業規模を問わず労働者を雇用するすべての事業主とされています。
大企業だけの話ではなく、店舗1つの小売店・飲食店、従業員数名の事務所も含まれます。
「うちは小さいから関係ない」が通用しない点が、今回の改正の最大のポイントです。
逆に、従業員を雇っていないフリーランス・一人事業主は、この措置義務の名宛人ではありません(義務は「雇用する労働者を守る」ために課されるものです)
2. そもそも「カスハラ」とは — 正当なクレームとの違い
カスタマーハラスメントは、おおむね「顧客等からの言動のうち、要求内容や手段・態様が社会通念上相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害するもの」という考え方で整理されています。
- 商品の不備への指摘や改善要望など、内容・手段が相当な範囲内のものは正当なクレームであり、カスハラではありません
- 一方、長時間の拘束・執拗な繰り返し・暴言・土下座の要求・SNS での晒しの示唆など、手段・態様が相当性を欠くものは、要求内容が正当でもカスハラに該当し得ます
この線引きを現場任せにせず、会社として基準を文書化しておくことが、義務対応の出発点になります。
3. 事業主に求められる措置の柱
厚生労働省の指針・企業向けマニュアルで示されている枠組みは、パワハラ防止措置と同じ構造で、おおむね次のとおりです(要約であり、詳細は一次資料を確認してください)
- ① 方針の明確化と周知・啓発 — カスハラに組織として対応する旨の方針を定め、従業員に周知する(掲示・研修など)
- ② 相談体制の整備 — 従業員が相談できる窓口を定め、周知する。相談に対応できる手順・関係部門との連携も整える
- ③ 事案への適切な対応 — 事実確認・被害従業員への配慮・再発防止。 そして、これらを行ったことが後から分かるように記録を残す
- ④ プライバシー保護と不利益取扱いの禁止 — 相談者等のプライバシーを守ること、相談や事実確認への協力を理由とする不利益取扱いをしない旨を周知する
具体的に何から手を付けるかは、施行日までの準備チェックリストにまとめています。
4. 罰則はあるのか
措置義務違反に対する直接の刑事罰は設けられていません。
ただし、行政による助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名公表の枠組みがあるとされています(パワハラ防止措置と同じ建付け)
実務上より重いのは民事リスクです。
従業員がカスハラで心身を害した場合、会社が何の措置も講じていなければ、安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
「措置を講じていたこと」を証明できるかどうかは、記録の残し方に懸かっています。
5. いつから何を準備するか
施行は2026年10月1日ですが、方針文書の作成・窓口の設定・従業員への周知には準備期間が要ります。 文書のたたき台はカスガード(kasuguard)の無料ジェネレーターで数分で作れるので、まず全体像を掴む → 自社用に調整 → 周知、の順で8〜9月中に済ませておくのが現実的です。
6. 注意
本記事は公表資料に基づく一般的な制度解説であり、法的助言ではありません。
義務の詳細・個別事案の判断は、厚生労働省の指針・マニュアル等の一次資料と、弁護士・社労士等の専門家にご確認ください。
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