医療・介護現場のカスハラ対策— 患者・利用者・家族への向き合い方
公開: 2026年7月29日
医療・介護現場は、他の業種と比べてカスハラへの対応が難しいと言われることがあります。
相手が患者・利用者本人であり、ケアそのものを続けなければならない関係性が背景にあります。
1. なぜ対応が難しいのか
- 相手が病気・障害・認知機能の低下などにより、言動の背景に医学的な要因が関わっている場合がある
- 通常の小売・飲食業と違い、「対応を打ち切る」ことがそのままケアの中断につながりかねない
- 家族が本人に代わって強い要求をしてくるケースがあり、本人と家族とで対応の考え方を分ける必要がある
2. 医学的要因とカスハラの切り分け
認知症やせん妄など、医学的な要因による言動と、それとは独立した迷惑行為とを同一視してしまうと、現場が萎縮したり、逆に必要な配慮を欠いたりしかねません。
一般的には、次のような視点で切り分けて考えることが提案されています。
- 医学的な要因が明確な言動は、ケアの一環として多職種でケア方針を検討する
- 医学的な要因では説明がつかない、繰り返しの暴言・暴力・セクシャルハラスメントは、通常のカスハラ対応の枠組みで扱う
- 判断に迷う場合は、現場の一存で決めず、医師・看護師・相談窓口を交えたチームで方針を決める
3. 家族からの言動への対応
患者・利用者本人への説明とは別に、家族から治療・ケア方針への過度な干渉や、担当者個人への攻撃的な言動が向けられることがあります。
家族の心情(不安・焦り)に配慮しつつも、要求内容・手段が相当な範囲を超える場合は、通常のカスハラ対応の考え方に沿って対応することになります。
4. 身体的な危険への備え
医療・介護現場は、他業種に比べて身体的な暴力のリスクが相対的に高いと指摘されることがあります。
一人で対応させない体制、緊急時の連絡手段(ナースコール・防犯ブザー等)の整備、複数人での訪問・対応の徹底など、安全確保を最優先する運用を事前に決めておくことが望ましいとされています。
5. 記録の残し方
医療・介護現場では、日々のケア記録・看護記録がすでに存在することが多く、その記録とカスハラ事案の記録を紐づけて残しておくと、経緯を後から振り返りやすくなります。
記録すべき項目の考え方はこちらの記事にまとめています。
6. 注意
本記事は一般的な対応の考え方の整理であり、法的助言ではありません。
個別事案の医学的判断・法的な判断は、医師・弁護士等の専門家にご確認ください。
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