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カスハラで労災になることはあるか|精神的被害と安全配慮義務

公開: 2026年7月28日

カスハラ対策が義務化される背景の一つに、繰り返しの被害による従業員の精神的な負担があります。
「労災になることもある」と聞くと不安になる経営者の方もいると思いますが、まず制度の考え方を整理しておくと落ち着いて対応できます。

1. 労災(業務災害)の基本的な考え方

労災保険は、業務が原因でケガ・病気・死亡が生じた場合に給付が行われる制度です。
精神障害についても、業務による強い心理的負荷が原因と認められれば、労災の対象になり得るとされています。
厚生労働省は精神障害の労災認定にあたって、業務による心理的負荷の強さを評価する基準を公表しており、その中に顧客や取引先とのトラブルに関する項目が含まれています。

2. どんな場合に検討され得るか

個別の事案が労災に認定されるかどうかは、心理的負荷の程度・期間・会社側の対応状況などを踏まえて総合的に判断されるものであり、一律の基準で決まるものではありません。
一般的には、次のような要素が考慮される傾向があるとされています。

  • 言動の内容・頻度・継続期間
  • 会社が事案を把握してからの対応(放置していなかったか)
  • 従業員の心身の状態の変化

3. 安全配慮義務との関係

会社には、労働契約法に基づき、従業員が安全に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)があるとされています。
カスハラ被害を把握しながら何も対応しなかった場合、この義務との関係が問題になる可能性があるとされています。
逆に言えば、相談窓口を整備し、初動対応記録の運用を回しておくことは、義務化対応であると同時に、こうしたリスクへの備えにもなります。

4. 会社として今できること

  • 従業員からの相談を受け付ける体制を整え、周知する
  • 相談・事案があった場合は放置せず、対応と記録を残す
  • 従業員の心身の様子に変化がないか、日常的な声かけの中で気にかける
  • 深刻な事案(暴力・脅迫等)は、社内対応だけで抱え込まず、早めに警察・専門家への相談も検討する

5. 注意

本記事は厚生労働省の公表資料等に基づく一般的な制度の説明であり、法的助言ではありません
個別事案の労災該当性・安全配慮義務違反の有無についての判断は、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。

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