パワハラ防止法とは?— 相談体制の整備は全企業の義務
公開: 2026年8月1日
改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)により、 職場のパワーハラスメント防止措置は、大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月から義務化されています。
カスハラ対策(2026年10月施行)より先行して義務化されている分、 「対応済みのつもり」で運用が形骸化しているケースも少なくありません。
1. パワハラの定義 — 3つの要素
職場におけるパワーハラスメントは、次の3つの要素をすべて満たすものと整理されています。
- 優越的な関係を背景とした言動であること (上司から部下に限らず、同僚間・部下から上司の場合も含まれ得ます)
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること (業務上の指導が直ちにパワハラになるわけではありません)
- 労働者の就業環境が害されるものであること
厚生労働省の指針では、暴行等の「身体的な攻撃」から、 人格を否定するような言動の「精神的な攻撃」、 仲間外し等の「人間関係からの切り離し」まで、 6つの代表的な類型が示されています。
2. 事業主に求められる措置
求められる措置の骨格は、後発のカスハラ対策義務と共通しています。
- ① 方針の明確化と周知・啓発 — パワハラを行ってはならない旨の方針を定め、 就業規則等に懲戒規定と合わせて明記し、周知する
- ② 相談体制の整備 — 相談窓口をあらかじめ定め、周知する。窓口担当者が適切に対応できる体制を整える
- ③ 事後の迅速・適切な対応 — 事実関係の確認、被害者への配慮、行為者への対応、再発防止策を講じ、これらを記録として残す
- ④ 併せて講ずべき措置 — 相談者・行為者のプライバシー保護、 相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止を周知する
3. セクハラ・マタハラとの関係
セクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法)、 マタニティハラスメント(均等法・育児介護休業法)も、 根拠法は別ですが求められる措置の骨格はパワハラとほぼ同じです。
実務上は「社内ハラスメント」としてまとめて相談窓口・台帳を運用している会社が多く、3つの違いと窓口を一元化する考え方に整理しています。
4. 「義務化済み」だからこそ問われる記録
パワハラ防止措置は施行から年数が経っているため、 行政の監督や労働紛争の場面で「実際に措置を講じていたか」を記録で示せるかが問われやすくなっています。
方針文書を作った日付・窓口の周知履歴・研修の実施記録・相談対応のログが残っているかどうかで、 いざというときの説明力が大きく変わります。
5. 注意
本記事は公表資料に基づく一般的な制度解説であり、法的助言ではありません。
該当性の判断や個別事案への対応は、厚生労働省の指針・マニュアル等の一次資料と、 弁護士・社労士等の専門家にご確認ください。
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